『真夜中独白少女』


月が煌々と照らす草むらに、少女が一人、立っていた。

腰の辺りまで伸びている髪が夜風に揺れている。


―――私はいつ出会えるのだろう。

あの日の少年。


『…………澪ちゃん』


…………たしか、零君……藤崎………零一君………だったっけ

目を閉じると、零君の優しげな笑顔が浮かんでくる。


―――パチン!


………………そして、目を閉じると、昔のあのことが、

すぐさっきの様に………………浮かんでくる。


(見損なったよ、澪ちゃん)


零君の笑顔と、あの言葉が。


あの時、何で零君に頬を叩かれたんだろ?

私、零君とずっと一緒に居たかっただけなのに。

だから、邪魔な奴を追い払おうとしただけなのに………


ない頭を振り絞って考えてみるけど、答えは出てくる気配すらない。


…………あれ?

私の頬に冷たい雫がこぼれてる。

いつの間にか…………涙流れてる。

指先で涙をふき取ろうとしたけど、次々と涙が出てくる。


か……悲しいわけ………じゃ…な、ない……の……に……。


ひとしきり泣いた後。


……………………。

………私、もう一度零君に逢いたい。

逢って、もう一度話をしたい。


…………そしたら、きっと私のどこが悪かったのか、きっと分かる。

うん、きっとそうだ。


………………でも。

………………………零君、私のことが見えるかな?


幽霊の私を。


後書き。


第2話開始直前の澪です。

この時の澪は、零一に対する気持ちはまだ本人でも気付いていません。

これからの澪と零一の関係はどうなるのか、河村も不明です(ぇ

2005.9.25 Masanari_Kawamura


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